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四万の食と文化

四万の山菜と茸

四万温泉では、春から初夏にかけて沢山の山菜が採れます。また、秋には珍しい茸などが獲れ四季折々の自然の味覚を楽しむことが出来ます。 四万の自然を楽しみながら散策を行うと懐かしい「ふきのとう」「ぜんまい」「こごみ」「たらの芽」等を見ることが出来ます。 江戸末期からある四万温泉では、昔は湯治場として山や川で採れた山菜・茸や温泉街で購入した漬物、渓流で釣った川魚を旅館に持ち込み調理して食べていました。

3月に食べられる山菜

  • ふきのとう

    3月からふきのとうが顔を出し始めます。少し苦みがありますが天ぷらなどにすると美味しい山菜です。

4月に食べられる山菜

  • ふきのとう

    3月から4月に掛けてふきのとうが見られます。ふきのとうは独特な芳香と苦味がありますが香辛料を使用することでおいしく食せます。

  • こごみ

    4月頃から『屈み/こごみ』を見る事が出来ます。こごみの正式名称は「クサソテツ」と言われゼンマイのように葉先が丸まっています。美しい緑の葉で塩ゆでにして和え物などにすると美味しい山菜です。

  • たらの芽

    4月から5月に掛けて『たらの芽』が見られます。たらの芽はほのかな苦味がありますが、もっちりとした食感が春を感じさせ人気の高い山菜です。山菜の王様とも言われ天ぷらや和え物にするとおいしく食せます。

5月に食べられる山菜

  • たらの芽

    4月から5月に掛けて『たらの芽』が見られます。たらの芽はほのかな苦味がありますが、もっちりとした食感が春を感じさせ人気の高い山菜です。四万温泉では5月末頃までたらの芽を採ることが出来ます。

  • わらび

    5月初旬ごろから『蕨/ワラビ』を見る事が出来ます。わらびは茎が太く短く首が上向きのものが柔らかく美味しいと言われています。灰汁が強く鮮度も落ちやすいので採取したらすぐに灰汁抜きをしてお浸しや炒めると美味しく召し上がれます。

  • ゼンマイ

    5月には『ゼンマイ』も顔を出し始めます。ゼンマイは綿毛がしっかりと残って葉が広がっていないものが美味しい言われており、茎は太く赤っぽい色をしている方が柔らかくて食すには良いと言われています。

  • こしあぶら

    5月はこしあぶらもよく見られます。こしあぶらはたらの芽やウドと同じく木の芽の部分を山菜として食されています。若葉は透き通るような黄緑色をしており天ぷらはもちろん、炊込みご飯にすると色と香りがよく美味しく食せます。

6月に食べられる山菜

  • ヤマフキ

    6月頃には『山蕗/ヤマフキ』を採取することが出来ます。ヤマフキは地蕗、青蕗、京蕗などの別名もあり、葉柄が鮮やかな淡緑色をしており根元は赤色で柔らかく香りも強いと言われています。天ぷら、あえ物、煮物、炒め物など様々な調理法があります。

8月に食べられる山菜

  • チチダケ

    四万温泉では8月頃から茸が見られます。主な茸は『チチダケ』という茸で、黄褐色でカサが広く肉の色は白色で少し固め、渋みがありますが、乾燥させると独特の香りとコクがあり煮物や汁物、炒め物などにするとおいしく召し上がれます。

9月に食べられる山菜

  • 舞茸

    四万温泉では、9月から10月に掛けて天然の『舞茸』を採ることが出来ます。天然の舞茸は日本全国でも数少なく希少だと言われており探すのも一苦労です。舞茸は毎年同じ木に生えると言われています。見つけたら場所を覚えておくと毎年採取出来るようになります。

  • シメジ

    四万温泉では、秋になると天然のシメジが採れます。シメジは秋になるとコナラやアカマツの林に発生し、時に大きな群生も見られます。カサの下の柄の部分がとっくり状に膨らむのが特徴で、味、香り共に非常に良くきのことして昔から好まれてきました。

10月に食べられる山菜

  • ナラタケ

    10月頃には、ナラタケが採れます。ナラタケは淡褐色でものによって茶褐色をしています。複数で並んで生えていることが多く湿気のある環境では表面にヌメリを感じる事もあります。味は渋みはありますが薄味で香りに特徴はありません。汁物などにして食すのが一般的です。

10月・11月に味わえる味覚

  • リンゴ

    群馬は関東の中でもリンゴ園が多く、四万温泉に訪れる途中にはリンゴ農園が直販している場所も多くみられます。9月下旬から10月頃からリンゴの販売が始まり旬を迎えます。群馬のリンゴは甘みがあり赤みが強くシャリシャリした食感をより楽しんでいただけます。

  • 9月下旬から10月に掛けて栗が実り栗拾いが出来るようになります。栗はイガから離れて栗のまま落ちていることが多く拾いやすいです。栗ご飯にすると甘みがあり美味しく召し上がっていただけます。

  • 10月上旬から柿が実り甘みのある甘柿が食べられるようになります。四万温泉では甘柿は生らないですが、柿の木に実った鮮やかな柿を見る事が出来ます。

  • 銀杏

    10月から11月に掛けて銀杏の木から銀杏の実が落ち始めます。四万温泉では、銀杏の実を採ることは出来ませんがお泊り頂いた旅館などで銀杏を使用したお料理を楽しんでいただけます。

  • 新米

    秋になると新米を味わう事が出来ます。四万温泉では地産地消を掲げ中之条でとれた作物を基にお料理を提供している旅館やお店が多く秋になると新米を提供しているところもあります。お泊りの際は新米の甘い味わいも楽しんでみてください。

四万に伝わる、摩耶の滝、摩耶姫伝説

むかし、この滝から5~6里ばかり川下に巨人の大きな手でひっかいたような高さ15丈(4~5メートル)ぐらいあろうかと思われる断崖があり、天狗の仕業だと思った村の者は、その近くに天狗様をおまつりして五社天狗と呼んでいます。

その近くに若夫婦がなに不自由なく仲良く恵まれた生活をしており、近所の人がうらやむほどでしたが、どういうことか子宝に恵まれず、子供がほしくて毎日神棚と仏壇にお祈りをしておりました。

と、ある日夫が夕食後にねむくてしようがないので、囲炉裏端でうたた寝をしてしまいました。しばらくすると白髪の老人が長い杖を持って現れ、持っている杖で北の方角をさして、
『この谷の奥の四万という所に温泉が湧いていて、そこに薬師様があるからその薬師様へお参りしてお願いしてみよ。』
と言って消えてしまいました。

はっと思い、目をさましてこのことを妻に話すと『これは、天狗様のお告げ』だと、いてもたっても居られず、早速四万の薬師様へ行き二人で『子供を授けてください』と薬師の湯に入りながら、7日の間おこもりをしてお願いいたしました。すると、そのかいあってかその翌年に玉のようなかわいい女の子が生まれました。
名前をお坊さんに頼むと、その坊さんは薬師様にお願いして授かった子だから、仏様にあやかり『摩耶』とつけようということになりました。夫婦は、かわいくてかわいくて目の中へ入れても痛くないたとえのように育てました。

大きくなるにつれてその美しさは増すばかり、あまりの美しさに誰言うとなく『摩耶姫』と呼ぶようになりました。やがて摩耶姫が年ごろになると、まわりがほうっておくわけがありません。近所の人はもちろん遠くからも縁談が降るようにやって来ます。だが摩耶姫の気に入った男はひとりも現れません。

 ある日、摩耶姫が近くのお不動様にお参りすると、ひとりの老女が現れて、
『あなたは美しい人だ、だんな様はいるのですか』と聞くので、
『いません』というと、 その女の人は
『それでは四万の薬師様の奥に大きな滝があるから、そこへ行ってごらんなさい』と言ってくれました。

摩耶姫は半信半疑でしたが、翌日よい天気なので新緑の谷を小鳥の声を聞きながら登っていき、滝の所まで行きました。しばらくの間滝の水の落ちるのをながめ、大きな音を聞いていましたが、何も変わったことはありません。やっぱり夢だったのだと、あきらめて帰り始めました。

5~6間も歩いたと思うと『ガサガサ』と大きな音とともに鹿を追ってきた男が目の前に立ちふさがりました。はっと驚き見上げると今まで見たことも会ったこともない素晴らしい男でした。二人はしばらく顔を見合わせていましたが、やがて摩耶姫は今までのことを話し始めます。

すると男も『何かよくわからないが不思議な夢を見た』と言うのです。
二人はこれは『お不動様のひきあわせ』と、これを機に意気投合し将来をちぎる仲となったのです。両親も反対するわけもなく二人は晴れて結ばれ、仲むつまじくよく働き人のうらやむ家庭をつくったそうです。

のちに滝の所に石の不動様をつくり、おまつりし感謝の気持ちを忘れなかったと言います。この不動さまは滝不動と呼ばれています。

それから、この縁にちなみ、この滝を『摩耶の滝』と名づけ、四万温泉の名勝となりました。雄滝と雌滝があり水量もあるすばらしい滝です。

※滝不動は現在『摩耶不動』と呼ばれ、日向見薬師堂の境内にまつられており今も参拝者が絶えません。